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でてこない言葉

たまには言語調査ネタを。

今回、今までと違う方言の調査だったので、基礎語彙から聞いてきました。

今まで、現地に入れたときは、調査に協力してもらう話者は、ある程度年配で、成人するくらいまでほぼその言語だけ使っていた人にお願いしていました。

今回、協力してくれたのは、若い人で(私よりひとまわり以上、若い)、小学校に上がるまでは母語中心の生活だったけど、小学校に上がってからは漢語教育を受け、しだいに家庭以外では漢語中心の生活となってきた人たちです。
教えてもらいたい言葉のリストの中国語を見せると、すべて理解できます。
これを母語に訳そうとしたとき、訳せない言葉がしばしば出てきます。

母語中心で生活できる社会の恩恵を受ける私たちにとっては、不思議な感じもします。

あの辺に存在しない「島」なんかは、年配の人でも全く出てきません。また、あのあたりの高地の言葉では、「雲」と「霧」が区別されなかったり「雲」=「小さい霧」だったりして混同されており、年配の人にも難しい。

「聾」「唖」に当たる語彙は、年配の人だとスルッと出てくるけど、彼女たちは知らなかった。前者は二人とも「耳の悪い人」と訳し、後者は一人が「口の悪い人」って翻訳して教えてくれた(日本語だと違う意味だ)。(でも日本でも「聾」「唖」の訓読みに相当する語彙を知らない若い話者が増えてるんだろうな……)

意外なところでは、「あご」。二人とも、最初なかなか思い出せなかったが、あとで分かって教えてくれた。
顔の他のパーツ、「目」「鼻」「耳」「舌」なんかは問題なく出てくる。「眉」はちょっと難しいけど出てきた。「あご」ってほかのより使う機会が少ないかな。

一人には複文も聞いてみました。そうしたら、年配の話者が使う逆接の接続詞が出てこなくて、条件の接続詞と同じものが使われていました。

なるほど言葉は大人になるまで習得され続けるのだなと思ったわけです。

Chengdu_minda2.JPG

Chengdu_minda1.JPG

写真は、空港の近くにある、西南民族大学の新キャンパスで撮ったもの。見えにくいけど、碑や電光掲示板にチベット語が表記されている。
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